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プライムレート

prime_rate_01.jpg 「プライムレート」とは、銀行が信用度の高い特定の優良企業に適用する「最優遇貸出金利」のことです。大きく分けると「短期プライムレート」と「長期プライムレート」の2つに分類できます。

短期プライムレートとは一般に「短プラ」と呼ばれ、短期(1年以内)で貸し出すときに適用されるプライムレートです。かつては公定歩合を基準に金利が決められていましたが、1989年1月以降は公定歩合ではなく、譲渡性預金、コールなどの市中金利と連動しています。従来の短プラと区別するために「新短期プライムレート」と呼ぶこともあります。

ただし、短プラは金融市場の需要と供給によって変動するとされているものの、実際はほとんど動きがないものでもあります。

地方銀行の中には独自のレートを設定しているところがある一方、メガバンク(都市銀行)を見るとほぼ横並びの状態です。一般取引先への短期貸出金利は、このレートを基に各取引先の信用リスクの大きさに応じた金利を上乗せして決められます。

一方、長期プライムレートは一般に「長プラ」と呼ばれ、長期(1年以上)で貸し出すプライムレートです。以前は、日本長期信用銀行が発行する「5年物利付金融債」の発行利率を参考に決めていましたが、現在は新短期プライムレートが基準となっています。従来のレートと区別するために「新長期プライムレート」と呼ぶこともあります。

ほとんど金利が変化しない短プラに対して、長プラは多いときで1年に10回以上変動することがあります。一般取引先への長期貸出金利も、このレートを基に各取引先の信用リスクの大きさに応じた金利を上乗せして決められます。

プライムレートと金利タイプの関係

不動産分野で、このプライムレートと深い関係にあるのが住宅ローン金利です。代表的な金利が次の3タイプです。

●全期間固定金利型
契約時に決めた金利が完済時まで適用されます。住宅ローンの証券化手法を使った「フラット35」が有名です。変動金利型と比べるとやや金利は高めに設定されていますが、返済プランを立てやすいというメリットがあります。

●固定金利選択型
「固定金利型」と「変動金利型」の利点を併せ持つ金利タイプです。一定期間中(3年、5年、10年など銀行によりさまざま)は金利が固定され、期間終了後に変動金利型または固定金利選択型に変更することができます。切り替え時に返済額が再計算されるので、大幅に金利が上昇していたときは総返済額が大きくなるおそれがあります。

●変動金利型
プライムレートに連動して金利が変わるプランです。契約に応じて年1~2回の利率見直しが行われ、基準日における短プラまたは長プラに対応した金利が適用されます。原則として毎月支払額が変わることはありませんが、金利はしっかりと変動しているため、場合によっては未払い分が発生する可能性があります。

現在、住宅ローンにおいては返済期間が一年以上でも短プラを導入している金融機関がほとんどです。長プラを採用しているところもありますが、みずほコーポレート銀行、新生銀行、あおぞら銀行、商工組合中央金庫など一部のみとなっています。

不動産投資ではどの金利タイプが有利なのか

不動産投資をする際、どの金利タイプにするべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

現在、短プラも長プラも非常に低い利率で推移しているため、「変動金利型」のローンを選ばれる方も多いようです。確かに変動金利型は、上記3種の中で最も金利が安く設定されています。しかし、それは今現在、過去最低水準の超低金利時代であるためです。将来的に金利が上昇したときは、固定金利型で組んだ場合よりも金利が大きくなってしまうこともあります。

教科書的な回答としては、今後金利が上がりそうなときは「全期間固定金利型」、金利が低水準で続くときは変動金利型を選択するのがお得といわれています。ただし、10年後に金利がどうなっているのかは専門家でさえもわかりません。将来的な金利動向を予想するのは大切ですが、不動産投資としてローンを組む場合は「物件の保有期間」を目安のひとつにしてみてはいかがでしょうか。

例えば、家賃収入を目的とした長期所有を考えている方は金利見直しによる影響が少ない全期間固定金利型、転売を目的とした短期所有を考えている方は金利が安めに設定されている変動金利型というように、不動産の運用方法によって決めることもできます。

ただし、プランによっては、一括繰り上げ返済をすることでペナルティが発生するものもあります。売却益によるローン返済を考えている場合、想定外の出費になることがありますので、契約する際にはよく注意してください。

マイナス金利とプライムレート

 prime_rate_02.jpg 2016年2月16日から、日本の金融史上初めて、日本銀行が「マイナス金利」を導入しました。日本銀行は「銀行の銀行」としての役割があり、金融機関は資産を日銀の当座預金口座に預けています。ただ、「-0.1%/年」というマイナス金利によって、預ければ預けるほど資産の0.1%を毎年徴収されることになりました。その結果、金融機関は「日銀に預けるより、企業などに貸し出したほうがマシ」と考え、積極的に融資するようになります。マイナス金利は、世の中の金回りが良くなることを目指した景気回復策なのです。

マイナス金利の導入当時は、しばらく動きがありませんでした。しかし、次第に住宅ローンがマイナス金利の影響を受けるようになり、金融機関はこぞって、住宅取得希望者に融資を実行しました。金利1%を切り、ゼロ%台の固定金利で貸し出すところも続々と出てきています。ここまで下がると、確定申告で住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を申請することによって、「ローンを借りるとお金が増える」現象も起き始めているようです。

長期固定金利の「フラット35」も、返済期間35年以下で1%台前半に下がっているほか、賃貸物件オーナー向けのアパートマンションローンも金利が下がる傾向にあります。

銀行預金は0.001%という究極の超低金利で、もはや下がらないところまで下げているのに、貸出金利をさらに大きく下げるのは、銀行にとって利幅を削ることを意味します。銀行経営にとっては苦しいところでしょうが、消費者が住宅ローンを組むことによって1件あたり数千万円~数億円単位のお金が市場に出回りますから、それが拡大することによってデフレ脱却と景気浮上が期待されるところです。

そもそも、住宅ローン金利は国債の金利とも連動しています。銀行金利が極限まで下がったことで、個人も預金を引き出してずっと金利の高い日本国債を買う動きが加速しました。金融機関も、マイナス金利でだぶつき、融資もできないお金で国債を買うようになりました。国債は多く買われるほど利回りが低下しますので、その影響もあって住宅ローン金利も下がったのです。

一方、短期プライムレートは、2009年1月以来、「1.475%」で、約8年半も微動だにしていません(2017年7月11日現在)。短プラと連動する変動金利の住宅ローンも、金利が事実上固定されていて、金利変動の恩恵をなかなか受けられない状態でいます。
時間をかけて返済を受ける分、金融機関にとって回収できなくなるリスクがありますので、金利が比較的高くなりやすい長期プライムレートが「1.00%」と、短プラを下回るという逆転現象も起きています(2017年7月現在)。この点、短プラの最優遇貸出金利としての性質が形骸化しているとの指摘もあるようです。

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