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DCR(債務回収比率)

 dcr_01.jpg 「DCR」とは、債務回収比率(Debt Coverage Ratio)のことで、「借入金償還余裕率」といわれることもあります。DCRは、マンション投資から得られる純収益を基に、住宅ローンの返済能力を見る指標となるもので、計算方法は下記のようになります。

DCR=NOI(営業純利益)÷ADS(年間のローン返済額)

NOI とは家賃収入からローン返済額以外の実際に出ていく経費を差し引いた営業純利益のことです。

Excelで計算できるADS(年間のローン返済額)

表計算ソフトのExcelでは、負債について定期的に発生する返済額を算出するために開発された「PMT」関数が用意されています。それを使って、DCRを算出する際の分母にあたるADSを試算することができます。

<PMT関数でADSを算出する構文>
PMT(利率,期間,現在価値,[将来価値],[支払期日])

ただし、PMT関数でいう利率や期間は、「月単位」であることに注意しなければなりません。例えば、年利3%(0.03)、30年で返済する不動産ローンであれば、年利は12で割って、期間は12を掛ける必要があります。つまり、PMT関数に入力すべき利率は0.03/12で「0.0025」、期間は30×12で「360」となります。

現在価値は、融資金の元金を入力します。あるいは、ローン返済額を算出する時点で、将来行われる一連の支払いを、仮に一括返済するとした場合の合計額でも構いません。

将来価値には、最後の返済を行ったのち、残存する現金の収支を入力します。入力を省略することも可能で、その場合は「0」として計算されます。

支払期日には、毎月のローン返済を月末に行うとするなら「0」、月頭に行うとするなら「1」を入力します。入力を省略することも可能で、その場合は「0」として計算されます。

PMT関数で出力されるローン返済額も「月額」です。よって、DCRを計算するためのADSを算出するには、出てきた額を12倍しておく必要があります。

3,000万円を利率3%で借入れ、30年間毎月月末に返済する場合のADS(将来価値は0)

利率(月) 0.0025
期間(月) 360
現在価値 3,000万円
将来価値 0
支払期日 0
 ひと月の返済額  12万6,481円
ADS     151万7,772円

DCR(債務回収比率)の意義と対策

DCRは、投資用マンションをローンで購入して運用している場合、営業純利益がローン返済額と同額であり、キャッシュフローが出ない状態のときに「1」として算出されます。また、1に満たない場合は、収益に占めるローン返済額の割合が高すぎることを意味します。つまり、その不動産投資には余裕がなく、危険な状態であると判断されます。

不動産投資が副業であれば、本業収入などで補填して運営を続けることは可能です。ただ、天災や社会状況の変化などによって、入居者が大きく減ってしまうようなことがあると、その損失に耐えられず、破綻に向かってしまうかもしれません。

また、DCRを算出する際の分子にあたるNOI(営業純利益)は、新築時がピークで、年が経つにつれて徐々に低下していく傾向があります。物件が古くなると、空室が目立って収益が低下しやすくなりますし、メンテナンスなどにも経費がかかってくるからです。

DCR=1.2以上あれば、融資が実行される可能性が高まる

 dcr_02.jpg DCRが1を超えれば、最低限の余裕がある投資だと判断されます。
投資物件の調達費用を捻出するための融資を申し込むとき、金融機関は融資審査のひとつとして、債務回収比率を算出します。その物件から得られる家賃を通じて上げられる収益から、十分に返済に回すだけの余力があるかどうか、その返済計画が無理のない現実的なものかをチェックするのです。
金融機関としては、DCRが「1.2」をクリアするかどうかが、融資の検討に入るボーダーラインであるといわれており、それを超える「1.3」「1.5」などであれば、融資の実行を決めやすいとされます。なお、この基準は、金融機関ごとに異なります。

すでに述べましたとおり、DCRは、営業純利益を年間返済額で割って算出します。よって、DCRの数値を引き上げるには、営業純利益を上げるか、年間返済額を下げるかで実現できます。

営業純利益を上げるには、家賃収入を上げるほか、経費を減らすことでも可能です。経営計画を見直して、入居者をより多く獲得できないか、家賃をより高く設定できないかを検討し、必要経費に無駄がないかどうかを改めてチェックしてみましょう。

年間返済額を下げるためには、融資申込額を下げるか、返済期間を延ばすことが必要になります。物件を調達するのに適切な融資申込額かどうかを再検討してみましょう。また、返済期間を延ばすことは、金融機関にとって返済を管理しなければならない期間を引き延ばすことになり、リスクが増しますので難しい交渉となるでしょう。また、金利の総額も大きくなりますから、借り入れる側にとってもリスクであることを忘れてはなりません。

DCR(債務回収比率)の具体的シミュレーション

例えば、物件価格4,500万円、年間の家賃収入が400万円、管理費や 固定資産税などの経費を差し引いた利益が300万円取れる物件があるとします。
この物件を3,800万円で元利均等、金利2.5%、借入期間25年で住宅ローンを組んで購入したとすると、年間のローン返済額は約200万円です。
この状態での債務返済比率は 300万円÷200万円=1.5 となります。

一般的に金融機関は、DCRが1.2以上ないと融資の検討ができないといわれていますが、仮に フルローン でこの物件を購入した場合はどうでしょうか。4,500万円のローンを組んだ場合、同条件の場合の年間のローンの返済額は約240万円です。

300万円÷240万円 =1.25

仮にフルローンで物件を購入しても、DCRはかろうじて1.2を超えています。

ただし、この比率はあくまでも物件購入時点での話です。今後は金利上昇の可能性が極めて高いため、仮に金利が3.5%まで上昇した場合では、年間の返済額は約270万円に上がってしまいます。さらに、将来的には家賃の下落なども発生することを考えると、ローン返済が収入を上回ってしまう可能性も考えられます。

不動産投資は現状を把握するとともに中期、長期的な計画が必要であり、金利上昇時などには綿密にローン返済シミュレーションを行わなければならないということを肝に銘じておきましょう。購入時点での収益状況は非常に大事ではありますが、それよりも安定した運営が可能かどうかという点に注意して投資を行うようにすることが、なにより肝心といえます。

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