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GLOSSARY
不動産用語集
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還元利回り

pixta_18364742_M 「還元利回り」とは、不動産投資をする際に対象物件の資産価値を評価する手法のひとつです。ある物件に投資した場合、その物件から得られるリターンと、将来的に得られる利益を算出する指標となるもので、「キャップレート 」 とも呼ばれています。

還元利回りでは、投資対象物件の収益性がそのまま物件評価額に反映されますから、建物が豪華な高級マンションやタワーマンション、庭が広い(純粋に投資効率を考えると無駄な敷地が多くなる)豪邸でも、投資に見合った適正な物件評価額を算出できるのが特徴といわれています。

なお、土地の還元利回りについては、地域によっては「地価公示」で表されています。これを平均すると、東京都心の商業地で3~4%、大阪都心部の商業地で4~5%ほどとなりますが、計算によって求めることも可能です。

還元利回りの計算と活用

不動産の鑑定に関しては、おもに「原価法 」「取引事例比較法 」「収益還元法」という3つの手法が併用されます。

・原価法:鑑定の時点で、その不動産を再調達するのに要する原価を前提に、経年による減価も考慮して算出する。
・取引事例比較法:その不動産と似た特徴や条件を持つ不動産の、具体的な取引事例から類推することによって算出する。
・収益還元法:その不動産を投資用物件としたとき、収益の総計から、現在の不動産価値を求めようとする。

このうち、収益還元法によって不動産価値を導き出すとき、密接に関連するのが還元利回りです。

還元利回り=収益の総計÷不動産価格



例えば月額賃料の総計が100万円のマンションの場合、年間の収益は1,200万円になります。不動産価格が2億円だった場合、還元利回りは6%です。収益還元法(直接還元法)で不動産価値を求める場合、経費を引いた純利益を還元利回りで除するので、経費が200万円かかった場合、1,000万円÷6%で求められる約1億6,667万円が不動産価値ということになります。


ただ、「収益の総計」には、経費などが含まれたままの場合と、経費を除いている場合があります。当然、後者の数字を前提にしたほうが、より利回りの実態を反映しているといえるでしょう。ちなみに、経費などを考慮せずに計算した還元利回りを「表面利回り」、経費などを考慮して計算した還元利回りを「実質利回り」と呼ぶこともあります。


そして、投資家にとっては不動産価格こそが初期投資の額そのものといえるでしょう。不動産をローンで購入したときは、自己資金 と借入金の総計が「不動産価格」に相当します。 そこから、予め還元利回りを計算しておけば、無理のない返済計画を立てることができます。また、将来得られると予測される収益と投資額のバランスを欠き、返済に無理があると判断した場合は、別の物件を検討することになるでしょう。つまり、投資対象としたい不動産の還元利回りを知っておくことは、無用な不動産投資のリスクを事前回避することにもつながるのです。


なお、借入金と自己資金の還元利回りを、その構成割合によって加重平均する(変量の重みを加味して平均値を導く)方法で、投資対象の還元利回りを算出することもあります。また、借入金償還余裕率 をベースにして、借入金が返済できない事態に陥らないように、購入できる不動産の金額を決定する方法もありますので、その時々の状況に合った方法を選ぶようにしましょう。

還元利回りの裾野の広がり

還元利回りの算出法は、「不動産鑑定評価基準」では以下のように定められています。

  • ●類似不動産の取引事例との比較からの算出
  • ●借入金と自己資金に関わる還元利回りからの算出
  • ●土地・建物に関わる還元利回りからの算出
  • ●割引率との関係からの算出
  • ●借入金償還余裕率の活用による算出

不動産鑑定評価基準は、その名のとおり、不動産鑑定士 などの専門家が不動産の価額を導き出す際に用いる一般的な基準です。


近年の投資用不動産価格は、不動産流通市場の整備進捗を背景に従来の一方的な上げ相場や下げ相場が長期間続く単純な市場構造から、収益性を中心にGDP(国内総生産)やGRP(域内総生産)、金利、企業業績、消費者物価指数などの影響を強く受ける、複雑な市場構造に変化しています。


さらに、経済のグローバル化とともに不動産市場のグローバル化も進みました。外資は日本の不動産をはじめアジア諸国の不動産をポートフォリオ に組み込んでいますし、日本のJ-REIT(不動産投資信託)も海外不動産をポートフォリオに組み込むなど「不動産の国際金融商品化」は拡大しています。


国際投資マネーは不動産投資の効率的なポートフォリオを求めて国や地域間で移動し、時には行き過ぎた市場の過熱や暴落を引き起こしています。還元利回りはこのリスクを回避する役割も担っているといわれ、今では不動産評価手法のグローバルスタンダードになりつつあります。


また、還元利回りは、賃貸マンションなど投資運用不動産の純収益から当該不動産の適正価格を算出する方法としても使われるようになりました。しかし、実際の算出にあたっては、空室、賃料設定、敷地・延床面積などの規模、建物の築年数と構造、物件のグレード、建物の管理・修繕状況など、さまざまな要因が絡んできます。そのため、経験豊富な投資家は、これらさまざまなリスク要因を盛り込んで利回りをシミュレーションし、対象物件の適正価格を算出しています。つまり、還元利回りを使いこなすのは投資家(不動産会社のコンサルタント)の腕次第といえるでしょう。

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