短期プライムレートとは

「短期プライムレート」(短プラ)とは、金融機関が短期貸し出しをする際に基準とする金利のことです。

プライムレートとは、金融機関が大企業などの最優遇顧客(最も信用力の高い顧客)に適用するために設定する最低金利のことで、1年以下の貸し出しを「短期プライムレート」、1年以上の長期貸し出しを「長期プライムレート」と呼んでいます。

1989年以前、短期プライムレートは各金融機関が公定歩合に連動した金利に、信用リスクに応じた上乗せ金利を付加して決定していましたが、1989年以降は基準が変わり、市中金利に連動して総合的な調達コストをベースに決定されるようになりました。このため、現在の短期プライムレートを「新短期プライムレート」と呼ぶこともあります。

短期プライムレートは何によって変動するのか

短期プライムレートは金融市場の需要と供給によって絶えず変動しています。金融環境などのさまざまな条件を総合的に判断した結果として利率が増減しているわけですが、その目安のひとつに「無担保コールレート」というものがあります。

無担保コールレートとは、金融機関同士が貸し借りを行う際に適用されるレートのことで、1日で満期を迎える超短期であることから「無担保コール翌日物金利」や「無担保コールレート(オーバーナイト物)」とも呼ばれています。

この無担保コールレートの金利は、日本銀行が金融政策の狙いを示しているものであって、景気に応じて上がったり下がったりします。金融政策が変わるとニュースや新聞でも大きく報道されるので、しっかりと情報を集めていればある程度の変動は予測可能です。

「住宅ローン金利」との関係

プライムレートは最優遇顧客に向けて設定している金利とのことで、一見すると不動産投資とは関係がないように思えますが、実は「住宅ローン金利」と深く関係しているのです。

各金融機関のホームページを見ると、変動金利型ローンの多くに「短期プライムレートを金利変更の基準として、毎年2回、4月1日及び10月1日に適用金利を見直す」といった記述があることに気付きます。

つまり、金融政策の影響によって短期プライムレートが動けば、その結果として変動金利型ローンの金利も上下するという関係になるわけです。金利が変動すれば今後の返済計画も大きく変わってくるので、景気の動向については常に注意を払わなければなりません。

一般的に変動金利型の利率は各金融機関で横並びになっていることが多いのですが、一部の金融機関では、異なる動きをする商品もあります。短期プライムレートが変動していなくても翌年から金利が変わることもあるので、金利はこまめにチェックしてください。

短期と長期、どちらに連動したローンが良いのか

現在、不動産投資向けローンは短期プライムレートと連動するものが一般的です。しかし、中には長期プライムレートに連動するものがあります。どちらと連動したローンを選べば良いのかという問題ですが、これは返済のスタイルはもちろん、不動産の保有期間によっても大きく変わってきます。

まず短期プライムレートをベースにしたローン商品には「金利がやや高めではあるが比較的安定している」という特徴があります。日本銀行が公表している「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」を見ると、長期プライムレートは年に数回(2013年は7度、2014年は4度)変更されますが、短期プライムレートは2009年1月13日以降、一度も変動していません(2016年8月10日現在)。これは金融機関がレートを設定しているためであって、長期連動型と比べて利率がころころと変わることはありません。

ただし、金利を見ると2016年8月10日現在、短期の最頻値が1.475%である一方、長期は0.95%となっています。このように利率がやや高めに設定されていることから不動産を長期にわたって保有する場合、支払金額が多くなってしまうのでおすすめできません。
以上のことから短期連動型は「転売などを目的とした短期保有で、なおかつ安定した償却を考えている方」に向いているプランといえるでしょう。

長期プライムレートをベースにしたローン商品は、短期とは逆で「金利はやや安いが変動が激しい」という特徴があります。長期プライムレートの金利は国債利回りに連動しているため、変動が少ないときでも年3回前後、多いときは10回以上変わるときがあります。よって安定性を求める場合は、短期連動型のほうが向いているかもしれません。ただし、先ほど比較したように長期プライムレートは短期よりも利率が低めに設定されていますので、最終的な支払い額はこちらのほうが少なくなる傾向があります。 以上のことから総合して、長期連動型は「家賃収入などを目的とした長期保有を考えている方」に向いているプランといえます。

このように短期連動型と長期連動型はどちらも一長一短です。転売によって短期間で利益を得るのか、それとも不動産運営による長期間の家賃収入を重視するのか、投資のスタイルに応じて最適なプランが変わります。金融機関の営業マンから勧められるがままプランを決定しないように注意してください。

マイナス金利なのに住宅ローンの変動金利が下がらない!?

short-term-prime-rate01.jpg 多くの金融機関が提供している変動金利の住宅ローンは、短期プライムレートを基礎にして毎年2回(4月・10月)、設定を変更しています。
日本銀行(日銀)は、金融機関による融資実行を促すため、2016年2月から「マイナス金利」を実施しています(2017年7月現在)。マイナス金利の場合、金融機関は手元に資金を置いたままだと損をしますので、積極的に融資を実行せざるをえません。このような状態にすることで世間にお金が出回るようにして、経済成長を促すことが日銀の狙いです。もちろん、金利が下がってこそ、企業や不動産投資家が積極的に融資を受けようと思うわけですが、変動金利も一部の例外を除いて、利率がなかなか下がらないのが実情です。

これは、複数の金融機関のあいだで資金を相互に融通する際や、金融機関が優良企業に融資するときに使用する「最優遇貸出金利」である短期プライムレートが、2008年のリーマンショック以来、すでに下げ止まりしていることが原因です。リーマンショック前の短期プライムレートは0.5%でほぼ固定されていたのが、リーマンショック後は0.1%まで低下しています。金融機関は、その事実をもって「短期プライムレートは底を打っている」としています。そして、その0.1%の中で銀行員の人件費などの経費がまかなわれていることから、「これ以上は(貸出金利を)下げられない」と言っているわけです。

なお、中小企業向け融資や不動産投資事業向けの融資も、短期プライムレートに連動した金利を設定している場合が少なくありません。しかし、不動産投資向けのアパートローンプロパーローン(事業ローン)は、事業性を評価して融資が決まるため、一般的に審査がきびしくなっています。そこで、投資が目的の場合でも、融資条件(特に年収の条件)が緩和され、団信(団体信用生命保険)を利用できる住宅ローンを利用する投資家が少なくありません。ただし、自己資金をあまり投じることなく規模の大きい物件を購入したい場合や、レバレッジを利かせたいときは、専用の不動産投資ローンが最も有効な選択肢になります。

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