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オーバーローン

pixta_23576139_M 「オーバーローン」とは、「ローン残高が不動産の時価を上回っていて、その物件を売却してもローンを完済できない状態」のことです。しかし、近年は「融資を受ける際に物件価格よりも多くお金を借りる」という意味で用いられることもあります。いずれも、不動産投資をするにあたって必須の知識です。それぞれ詳しく解説しましょう。


住宅ローン残高が不動産の時価を上回る「オーバーローン」

どのような住宅も、年数が経つにつれて価値はどんどん下がっていきます。経年劣化や地価の下落、需要の変化など、理由はさまざまです。このとき、住宅ローンの返済ペースよりも価値の下落スピードが速い場合、住宅の価値がローン残高よりも低い状態になることがあります。

例えば、投資用物件を査定に出したとしましょう。売却額は2,000万円といわれましたが、ローンはまだ2,500万円残っています。このように、不動産を売却してもローンが余ってしまうことをオーバーローンと呼びます。アパートローン(不動産投資専用ローン)であれば、オーバーローンは許されないのが原則ですが、一般的な住宅ローンであれば、審査次第でオーバーローンが許可される場合があります。オーバーローンの問題は、返済手段を確保するまで物件を売却できないという点です。

ローンが残っているということは、「抵当権」が残ったままであることを意味します。抵当権付きの物件を売買することは法的には可能ですが、債務者である売主がローン返済を滞らせた場合、債権者である金融機関が抵当権を行使して、買主が所有権を失う恐れがあります。このようなリスクのある物件を買いたいと思う人はいません。したがって、通常の不動産取引においては、売主がローンを完済して、抵当権を抹消してから引き渡すことが大前提となっています。

オーバーローンの物件を売る方法とは?

オーバーローン状態に陥っている場合でも、自己資金で不足分を埋め合わせることができるのであれば売却は可能です。所持していても収入が期待できない物件の場合、早めに手放してしまったほうが最終的に得になるケースもあります。万が一に備えて、資産を処分するためのキャッシュを保有しておくことも大切です。

自己資金が足りない場合、「任意売却」という方法を用いれば売却することが可能です。債権者と債務者のあいだに不動産コンサルタントが介入して、債権者から合意を得ることで、オーバーローン状態でも売却できるようにする方法です。ただし、一般の不動産売買と異なり手間がかかるだけでなく、必ず売却できるとは限りません。

不動産を購入する際は、そもそもオーバーローンにならないように頭金を多めに用意することや、資産価値が安定している物件を選ぶことが重要です。しかし、ローンを組む限り、リスクはゼロではありませんから、オーバーローンに備えてシミュレーションをしておくと良いでしょう。

物件価格よりも多くお金を借りる「オーバーローン」

住宅のような高額不動産を建築・入手するためにローンを組む場合は、ある程度の自己資本(頭金)を入れるのが通常です。頭金を入れず、不動産を入手するために必要な額をすべてローンでまかなう場合を「フルローン」と呼びます。さらに、不動産の価額だけでなく、入手するために支払うべき諸費用もローンでまかなう場合をオーバーローンと呼ぶ場合があります。

投資物件を購入する場合、物件の費用のほかにも不動産取得税や各種保険料、司法書士への報酬など、さまざまな諸経費が発生します。この諸経費は、不動産価額の5%前後、場合によっては8~10%になる場合があります。アパートローンが適用されるのは原則として建物部分のみで、これらの経費については現金で自己資金を用意しなければいけません。

しかし、不動産の価格が5,000万円だった場合、5,500万円のローンを組めば自己資金をほとんど使わずに不動産投資をすることができます。このように、不動産価格よりも多く融資を受けることもオーバーローンと呼びます。諸経費を払い終わっても手元に資金が残っているときは、キャッシュとして保有したり、ほかの投資を行ったりするなど、用途は自由です。

投資家を危険にさらすオーバーローン

一見すると便利に見えるオーバーローンですが、金融機関に対して不当に不動産価額を多めに申告するなど、嘘をついてオーバーローンを組んだ場合には、法的には「詐欺行為」に該当する可能性があります。

なぜなら、ローンの「目的外使用」に該当する可能性があるからです。住宅ローンは住宅を取得するために、アパートローンは投資用集合住宅を取得するために、金融機関が融資を決めたものです。余った融資金で車を買ったり、遊興費に使ったりすることは、金融機関への裏切り行為になりうるのです。

また、消費者金融やカードローンなど、利息制限法に定められた上限ギリギリの高利息の借金で苦しんでいる人は、低金利の住宅ローンを多めに借りて、そちらの返済に回すこともあるようです。

民事的には、期限の利益(分割払いで返済する利益)を失って、一括返済を請求されてもおかしくありません。あるいは金融機関からローン契約を取り消された上、損害賠償を請求されるおそれがありますし、悪質であれば刑事事件(詐欺罪、申請書類を偽造した場合は私文書偽造・偽造私文書行使罪もつきます)として告訴される危険性も伴います。

なぜなら、住宅ローンは「住宅の購入」という目的に限定されているため、ほかのローンよりも低金利に設定されているからです。住宅ローンとして借り入れた資金を余らせて、車や宝飾品などを購入することは金融機関に対する背信行為にあたります。住宅に関連するとしても、ローンの諸経費や不動産仲介手数料まで住宅ローンで賄うことは目的外使用であり、許されません。住宅ローンの中には、いわゆる「諸経費ローン」のように、住宅を取得するための不動産仲介手数料など、必要経費を融資してくれる商品もありますので、最初からそうしたものに申し込むべきなのです。

ところが、不動産投資関係のホームページを見ると、オーバーローンを推奨しているところも少なからず存在します。確かに、オーバーローンは自己資金ゼロで不動産を購入することができるため、うまく利用すれば投資サイクルをさらに早めることもできるでしょう。

しかし、前述したように、アパートローンが適用されるのは原則として建物部分のみです。金融機関をだまして多額の融資を引き出しているのですから、発覚すれば詐欺罪として罪に問われることもあります。知らなかったでは済まされませんので、くれぐれも注意してください。

オーバーローン最大のデメリットは破産リスク

 overlawn_02.jpg オーバーローンには違法であることのほかに、致命的なデメリットがあります。
それは「破産リスクが高い」という点です。ローンを多く借りるということは、それだけ負担が大きくなることを意味します。現状では月々きちんとローンを返せていても、将来的に利率が高くなった場合、キャッシュフローがマイナスに転じてしまうおそれがあります。

また、オーバーローンを申し込んだこと自体が金融機関に対する裏切り行為であり、支払い期日まで代金を支払わなくて良い「期限の利益」を失って、一括返済を求められかねません。ローンを払えなくなれば債権者に抵当権を行使され、せっかく手に入れた物件を取られてしまうだけでなく、借りすぎがあだとなって返済額が残ってしまい、住宅がないのに住宅ローンの残債の返済義務を負ってしまうことにもなりかねません。このように、オーバーローンは極めてハイリスクな投資といえるのです。

また、オーバーローンが発覚した場合、金融機関からペナルティを受けることもあります(「信義則違反」として、二度と融資をしてくれなくなる可能性があります)。

以前は、オーバーローンが積極的に行われていましたが、近年はオーバーローンを打診した段階で却下されてしまいます。しかし、金融機関の営業担当者の中には、営業成績を上げたいために、こっそりとオーバーローンをすすめてくる人もいます。
甘い誘いについのってしまう人もいるかもしれませんが、ペナルティで済めばまだ良いほうで、最悪、前科がついてしまうこともあります。健全な不動産投資を行うためにも、そのような提案をされたときはきっぱりと断るようにしてください。

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