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GLOSSARY
不動産用語集
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土地家屋調査士

pixta_7774903_M「土地家屋調査士」とは、土地家屋調査士法によって規定された国家資格で、不動産の表示における登記のエキスパートです。日本の不動産に関する情報は、法務局が「不動産登記記録」という形で保管されていて、「表題部」と「権利部」に分かれています。


・表題部(表示に関する登記)
土地や建物の物理的な位置や大きさ、形状などを表した部分。


・権利部(権利に関する登記)
土地や建物の所有者やその過去の変遷、抵当権 などの担保について表した部分。


権利部を書き換えるとき、法務局への申請代行を依頼されるのは「司法書士」となりますが、表題部の申請代行は土地家屋調査士となります。不動産登記法14条1項には、「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする」とあり、この地図や建物所在図(14条地図)を実地で測量して作成するのが、土地家屋調査士の仕事なのです。


ただし、地方では建物所在図が整備されていない地域も残っており、明治時代に作成された「公図」もいまだ補助的に使われています。不動産登記のデジタル化を機に、建物所在図を網羅することも今後の土地家屋調査士の重要な使命といえるかもしれません。

土地家屋調査士が不動産に関わるさまざまな問題を解決に導く

土地家屋調査士が行う業務は、以下のようなものが挙げられます。


・境界確認
自分が所有する土地を完璧に把握している所有者は、それほど多くありません。隣人が植物を育てているスペースが実は自分の土地だったり、逆に自分が倉庫として使っているところが隣人の土地だったりすることも少なくありません。お互いの合意があるときは問題ありませんが、知らずに土地を売却してしまった場合、新たな所有者とのトラブルの原因になりかねません。このような事態を避けるために、所有者と隣人の立ち会いのもと、測量によって境界をはっきりさせることを「境界確認」といいます。


・筆界特定制度
隣接する土地の境界線が明確に確認できない場合は、法務局が行う「筆界特定」の手続きによって境界線を特定することになります。土地家屋調査士を初めとする民間の資格者が就く「筆界特定委員」が、現場の調査を行って意見書を提出します。これを「筆界特定登記官」が総合的に判断して、土地の境界線を定めることになります。なお、結果に納得できないときは、裁判で争うことも可能です。


・民間紛争解決手続きの代理
土地の境界線が原因で民間紛争が起こった場合、弁護士との共同受任を条件として解決手続きの代理をすることができます。また、各都道府県の土地家屋調査士会は「境界問題解決センター」と呼ばれる裁判外紛争処理機関(ADR)を設けていますが、このセンターが受託して解決を目指す境界確認トラブルについて、当事者の代理をすることができるのが「ADR認定土地家屋調査士」です。


センターの紛争処理手続きに関与できるのはADR認定土地家屋調査士だけです。年に1回開催される研修会に参加し、そこで実施される考査に合格、法務大臣の認定を受けることで特別な職責を負った土地家屋調査士として活動できるようになります。


・登記申請
建物を新築したときの「表題登記」、増改築をしたときの「表題部変更登記」、取り壊したときや焼失したときの「滅失登記」、2つ以上の隣接した土地を1つにまとめたときの「合筆登記」、1つの土地を2つ以上に分けたときの「分筆登記」などは、その都度、表題部の作成や変更を法務局(登記所)に申請しなければいけません。土地家屋調査士は、これらの申請を所有者に代わって行うことができます。なお、同じように土地の測量を行う「測量士」の資格もありますが、測量士は登記申請までは行えません。


なお、土地の合筆は、番地が枝番で分かれて複雑になっているときや、道路から離れた袋地などで不動産の価値が下がっている場合などに行われます。また、土地の分筆は、相続が生じて複数の相続人 が不動産を共有している状態を公示するときや、狭い道路を拡幅するときなどに実施されます。
さらに、山林や農地を開発して土地の使い途を「宅地」に変更するときは、「地目変更登記」が必要です。地方で使われないまま眠っていた不動産を再開発するときなどは、土地家屋調査士の世話になることが増えるでしょう。

事前の境界確認は不動産投資の基本

ほかにも、土地家屋調査士にはさまざまな業務がありますが、不動産投資において最も重要なのは境界確認です。売主の中には、隣人との土地トラブルがあると価格が下がり、買い手が現れないことがあるため、あえて境界問題を告知しない人もいます。しっかりした不動産会社は必ず調査を依頼するので未然に防げますが、ずさんな不動産会社は気付いていない(知らないふりをしている)ケースもあります。
つまり、投資目的で購入しようとしている土地が、そっくりそのまま自分の土地になるとは限らない現状があるのです。土地の購入を考えたときは、まず不動産会社に「信頼できる取引実績」があることを確認してください。
不動産投資は大きな金額が動くものですし、土地に問題があるとその後の開発計画にもほころびが生じてしまいます。売主や不動産会社が用意した書面だけでなく、自前で土地家屋調査士に調査と測量を依頼し、自分の目でチェックするようにするといいでしょう。

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