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GLOSSARY
不動産用語集
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借換え

pixta_1824385_M「借換え」とは、ほかの金融機関で組んだローンを、現在組んでいるローンの返済にあてるという方法です。カードローンの組み合わせのような「借金を返済するための新たな借金」ではなく、不動産投資ローンの借換えは「現在よりも金利を下げる」目的で行うことになります。

個人向けの不動産投資ローンは、「アパートローン」などの名称で、都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合、ノンバンクなどが融資を実行しています。金利は概ね1%台から3%台となっていますが、不動産投資家や物件の条件によって、それ以上の設定をしている金融機関もあります。なお、不動産投資のローンの場合、億単位の借入れも考えられますが、借入れが増えれば必然的に月々に支払う利息も増えますから、たとえ0.1%の差でも無視してはいけません。

現在は、人口減少や少子高齢化の影響で若年層の経済的な余裕が減退し、不動産(住宅)が売れなくなっているといわれています。それでも都市部を中心に不動産投資市場は活況で、金融機関も貸出先を求める「オーバーバンキング」状態になっていることもあり、積極的に不動産投資への融資を実行する傾向があります。その際は、複数の金融機関のあいだで競争が起きますので、利率が下がりやすい状況が生まれるのです。そのトレンドに乗り、金利の低い別のローンを借りて従来のローンを全額返済できれば、総合的に有利な「仕入れ(借入れ)」ができたといえるでしょう。

なお、金融機関のローンの利率に影響する短期プライムレートの最頻値(最も出現頻度が高かった数値)は、2007年には1.875%でしたが、2009年以降は1.475%となっています(長・短期プライムレートの推移/日本銀行公表データより)。
わずか0.4%の差ですが、不動産投資のように億単位で組むローンにおいては、年間で数十万円、返済期間全体では数百万円もの差額が発生するのです(ちなみに、2016年まで短期プライムレートの最頻値は1.475%で安定しています)。

借換えは不動産投資家にとって良いことばかりでない

借換えをした場合、ローンの残高は変わりませんが、金利は組み直した時期のものが適用されます。つまり、借入れを行ったときと比べて金利が下がっている状況であれば、最終的なキャッシュアウトを減らせる可能性があるのです。しかし、借換えには以下のようなデメリットも存在します。

●現在ローンを組んでいる金融機関との関係悪化
借換えをした場合、現在ローンを組んでいる金融機関は融資額が一気に減ってしまいます。特に不動産融資は金額が大きいので業績に影響が出ることもあり、関係の悪化は避けられません。今後、魅力的な物件を見つけたとしても、その金融機関では融資が受けられない可能性もあります。

●借換え費用(スイッチングコスト)の発生
借換えをする場合、ローンを組み替える際に発生する「スイッチングコスト」にも注意する必要があります。利息が低くなったとしても、得をする金額よりペナルティや登記費用などの諸経費が上回ってしまっては、借り換える意味がありません。なお、住宅ローンの借換えに要する費用として考えられるのは、一般的には以下のものが挙げられます。

  • ・住宅についている抵当権の抹消登記にかかる登録免許税・司法書士報酬
  • ・借換え後ローンの保証料・印紙代
  • ・繰り上げ返済手数料
  • ・団体信用生命保険料(金利に上乗せされる場合もあります)

総計すると100万円単位になることもあります。これらの諸費用を支払ってでも見合う借換えかどうか、事前にしっかりと計算しておくことが重要です。

●月々の支払いが増える可能性がある
借換えによってトータルの返済額が下がったとしても、融資期間が短くなった場合は月々の返済額が増える可能性があります。ローンが支払えなくなって物件を差し押さえられる事態に陥らないために、月々のキャッシュフローの変化についても注意を払う必要があります。

●現在の金融機関もおろそかにしないことが重要
借換えを考えるときは、まず「総返済額を減らす」「月々の返済額を減らす」「収入が減少する定年退職時以降のローン残高を減らす」といった目的を整理しましょう。その目的によって、「どのローン商品に借り換えるか」または「借換えしないほうが有利なのか」などの状況は異なってきます。

実際、不動産投資を行っていると、ほかの金融機関の営業担当者から借換えの誘いがあるでしょう。金融機関にとっては新しいマンションに融資するよりも、経営が安定しているマンションに融資したほうがリスクも少ないためです。現在より低い金利を提示された場合、すぐに借換えを検討したくなるかもしれませんが、まずは現在のローンを組んでいる金融機関に対して「他行から借換えの誘いがきている」ことを伝えましょう。

金利を下げることは金融機関にとっては利益が減ることですから、先方から引下げの提案はしてくれません。ただ、大切な顧客が他行に奪われるかもしれないとわかれば、交渉に応じてくれる可能性が出てきます。金融機関は不動産投資家の大切なパートナーですから、借換えをするのは一度交渉してからでも遅くはないでしょう。

本当の注意点は借換えしたあとに潜んでいる

借換えで月々の返済額を減らすことに成功しても、差額を自分の懐に入れてしまう投資家があとを絶ちません。しかし、それでは借り換えた意味も半減してしまいます。返済額の減少によって浮いた差額は、物件を安定的に維持していくための余裕財源として、あるいは次の投資に向けた資金としてプールしておきましょう。「借換えの成功=投資の成功」ではありません。

また、ローンに適用される金利は、申込み時点ではなく「融資実行時点」であることにも注意してください。特に金利の変動が激しいときは、一度様子を見るなど、借換えを急がないことも大切です。

2016年からの、日銀「マイナス金利」の影響

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日本銀行は2016年2月にマイナス金利政策を導入し、金融機関にとっては積極的な貸出しをしなければ損失を被る時代になりました(2017年7月現在、継続中)。そこから住宅ローン金利も下落し、借換えの需要も高まっています。
おもに、フラット35などの固定金利住宅ローンを、年利2%台といった比較的高利で借入れした人や、低金利の優遇期間が終了してしまった人が、借換えを求めていると見られます。
月刊「銀行実務」(2016年6月号)のまとめによると、三菱東京UFJを除く日本の主要8銀行(三井住友・三井住友信託・りそな・みずほ・住信SBI・新生・ソニー・イオン)が受けた2016年2月の借換え申込件数は、前年同月比で2.5倍増となり、前月と比較すると約4倍増という急増ぶりです。
申込みが殺到することで手続きが遅延し、そのあいだに金利が上昇してしまうとクレームにつながりかねません。借換えで融資先を増やしたい金融機関にとっては悩ましい問題といえます。このような状況もありますので、借換えを検討するときは「複数の申込先を視野に入れておく」ことが望ましいでしょう。

今後、マイナス金利がさらに強化されることも考えられるため、変動金利の住宅ローンに借り換えようとする動きも見られます。しかし、国際経済も不安定要素が多い昨今、金融機関は変動金利の住宅ローンのリスクを、従来にも増して顧客に明確にしておく必要があるでしょう。借換え申込み時は、「毎月の返済額を抑えたい」「金利上昇リスクを抑えたい」など、目的を明確にして相談するようにしたいものです。

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