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公示地価

 official-land-price_01.jpg 「公示地価」とは、国土交通省内に設置されている土地鑑定委員会が、地価公示法に基づいて標準地(価格を公示する地点。その地域の標準的な土地が選ばれる)の鑑定評価を行い、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するというものです。1970年から地価の調査が始まりました。

地価公示法によると、公示地価は「標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もつて適正な地価の形成に寄与することを目的とする」ものとされていますが、要は「土地取引における価格の目安」です。

公示地価の調査方法は、標準地に対して2人以上の不動産鑑定士が、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析した上で「通常成立すると認められる価格」を鑑定するというものです。その結果を土地鑑定委員会が審査し、必要な調整を行った上で公示地価を決定します。このように、誰か特定の人物が決めるような基準でなく、より客観的な基準を定めて、できるだけ公正を保とうとしているのです。なお、2017年1月1日現在、全国には26,000の標準地があり、公示地価は標準地1平方メートルあたりの価格で表されます。

公示地価のおもな変動要因としては、「金融緩和による金利の下落」や「インフレ懸念(不動産はインフレヘッジ資産と考えられる)」「好景気による不動産需要の増大」などの上昇要因と、「長期金利の上昇」「企業収益や個人所得の低迷」「災害などによる資産価格の下落」といった下落要因が挙げられます。このため、公示地価は、景気や経済動向をはかる重要な指数としてもしばしば取り上げられます。

土地の価格は、公示地価に沿わなければならない?

民法の大原則に「契約自由」があります。誰を相手にして、何を売り、どのような価格をつけても、当事者さえ納得していれば、原則として国からは干渉されず、どのような契約を結んでも構いません。

しかし、土地の取引きに関しては、その価格が公示地価を基準にして設定しなければならないと、法律で努力義務が課されているのです。地価公示法第1条の2には「都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない」と定められています。

しかし、実際は公示地価からかけ離れた価格設定の土地取引も珍しくはありません。また、公示地価以外の基準によって拘束されていることも多いのが実情です。

公示地価以外の基準

一般に「土地には4つの価格がある」といわれます(一物四価)。4つの価格とは、「公示地価」「実勢価格」「路線価(相続税評価額)」「 固定資産税評価額」です。不動産投資において、公示地価はあくまで目安のひとつです。実際は、実勢価格または路線価を基に、価格を設定するケースが多いようです。

それでも、公示地価がほかの不動産価格基準を定める上で、基礎となっていることは間違いありません。

・実勢価格
土地は必ずしも公示地価の価格で売る必要はなく、売主が自由に設定することができます。
たとえ相場を無視して売り出したとしても、それに対して「買いたい」という人が現れれば問題ありません。このように、不動産取引が成立した金額のことを「実勢価格」といいます。
その性質から公示地価と大きな差が生じることが多く、特に人気の地点では、実勢価格が高くなる傾向があります。リアルタイムな需要を表していることから、四価の中で最も重要な数値とされ、不動産売買においてはこの数値を目安とするのが一般的です。
実勢価格を知る方法としては、国土交通省の「 土地総合情報システム」や、公益財団法人東日本不動産流通機構の「 Reins Market Information 」などがあります。
実勢価格を参考する際の注意として、「相場とは限らない」という点があります。例えば、売主が不動産をすぐに手放したいがために、相場よりもかなり低めの価格で売りに出すことも少なくありません。売買事例があるからといって、同じ値段にしてしまうとかえって損をする可能性もありますので注意してください。また、不動産広告に掲載されている「販売価格」は、取引きが成立するまでは売主の希望価格であるため、実勢価格とはいいません。

・路線価
路線価とは、国税庁が相続税や贈与税を課すために、毎年7月頃に公表するものです。
土地評価額は時価によって求めるべきものですが、すべての土地ごとに算出するのは困難です。そこで、国税庁は道路ごとに路線価を決めて、その金額に対して面積をかけることで土地の金額をおおまかに算出できるようにしました。路線価は、公示地価の概ね80%の水準となります。
路線価はすべての道路に設定されているわけではありませんが、不動産の取引きが少なく、実勢価格がわからないときは路線価を参考にするケースが多いようです。路線価は国税庁の「 財産評価基準書」、または全国の国税局・税務署で閲覧することができます。

・固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、市町村(23区は特例として東京都)が固定資産税や 都市計画税などを課すために決定しているものです。土地や家屋については3年ごとに評価額を見直しする「評価替え」という制度があります。2015年に評価替えが行われましたので、次は2018年、その次は2021年に行われる予定です。固定資産税評価額は、公示地価の概ね70%の水準となります。
固定資産税評価額は「税負担の公平を図る」という目的から、地価が下落しても評価額が据え置きになることが多く、需要をリアルタイムに反映した価格とはいえません。

不動産は公示地価=相場ではない点に注意

 official-land-price_02 公示地価は国土交通省が発表しているものと解説しましたが、これに対して実勢価格は売主や買主、路線価は国税庁、固定資産税評価額は市町村というように、それぞれ評価者が異なっています。同じ土地でも評価の視点が異なれば、当然価格も大きく異なってきます。不動産投資において、公示地価はあくまで目安のひとつであって、絶対ではありません。
不動産投資をする際は「土地には4つの価格がある」ことを前提として、さまざまな視点から慎重にリサーチする必要があります。

不動産投資と公示地価の関係

公示地価が上がると、不動産投資家にとっては、物件の資産価値が引き上がり、不動産ローンの債務状況も改善されるメリットがあります。固定資産税も上がりますが、それを上回るメリットがあるのです。

日本における不動産の価格割合は、土地:建物=3:1といわれています。価値が土地に偏在しているのは、土地は劣化せず、半永久的になくなることがないからです。建物は経年劣化しますし、天災や火事などで失われることもありますので、土地に比べたら脆弱な資産といえるかもしれません。

しかし、土地を所有していないことを嘆く必要はありません。所有者から借りて投資用物件を建てればいいわけです。地主の中にも、最初はアパート経営などで資金を地道に貯めて、ようやく土地を購入したという方も少なくありません。
不動産投資で収益を上げることができれば、その一部を原資として土地を取得して、地主として他者に貸し出し、地代とともに地価の上昇に伴う含み益を確保することもできます。

近年、東京・大阪・名古屋といった大都市の中心部にある地価の上昇が著しく、資産価値において、都市と地方の差がますます広がっています。車社会の地方ならば、土地や建物の場所はそれほどこだわらないでしょうが、中心的な交通手段が電車になる都会では、やはり「駅近」が人気で、地価が上がりやすい傾向があります。
その結果、投資用の建物も「どこに建てるか」によって、収益が大きく変化するようになっています。

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