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返済負担率

pixta_24003226_M 「返済負担率」とは、年間の所得額に対して、ローンなどの返済額が占める割合のことです。ほぼ同じ意味で「総返済負担率」や「返済比率」と呼ばれることもあります。
一般の人が住宅ローンを借りるときには、返済負担率が重要な判断基準のひとつとされます。多くの金融機関等では、借入条件(融資条件)として返済負担率の上限を設定しています。もちろん、外部には開示されない機密情報ではありますが、一般的には25%前後に抑えられていれば適切で、上限としては35~40%と設定されている場合が多いです。

返済負担率の意味

不動産投資をする方の中にも、賃貸業に提供する物件を住宅ローンで購入・新築するケースが増えています。専用の不動産投資ローンよりも審査が通りやすく、利率も安く抑えられるケースが多いためです。会社員や公務員など、安定収入を確保できる立場の兼業投資家の方は、特に住宅ローンを組みやすいので、投資用物件の購入に住宅ローンを活用することは有効です。

住宅ローンを申し込む人にとって、一番の関心は「金融機関が貸してくれるかどうか」「貸してくれるとして、いくらまで貸してくれるのか」という点でしょう。一方で、金融機関側としては、「本当に返済を滞らせないか」という点が一番の心配となります。

もっとも、物件そのものに抵当権を設定して担保に入れているわけですから、催促状を送付しても滞納が続けば、物件を競売にかければ回収できます。具体的には、ローンを滞納していると保証会社がいったん立て替えて(代位弁済)、支払い期日まで代金を支払わなくても良い「期限の利益」の喪失によって分割払いが許されなくなり、保証会社が立て替えた分と遅延損害金の一括払いができなければ(月々の返済すら滞納しているのだから、普通はローンの一括返済は不可能)、担保不動産の競売が開始されます。
この催促や通知、並びに物件の落札者を確保するまでの手続きが煩雑ですから、しっかり返済してくれる人を見極めたいのが、金融機関の本音なのです。

住宅ローンを申し込む人は、月々の返済負担を過小評価(あるいは、みずからの返済能力を過大評価)しがちです。仮に会社員としての安定収入があるとしても、病気やケガ、突然のリストラによって、あてにしていた収入が断たれてしまうかもしれません。

不動産投資をする立場であれば、空室リスクや家賃滞納リスクもあります。コントロールしがたい経営状況の変化によって、途端に返済に窮する危険性も心得ておかなければならないでしょう。

金融機関が貸し付ける住宅ローンの借入限度額は、この返済負担率という基準によって算出されますが、計算方法は金融機関が独自に基準を設けているもので、各金融機関によって異なります。

<返済負担率の計算式>
返済負担率(%)=住宅ローンの年間返済額÷年収(額面)×100

返済負担率は、1年間におけるローンの返済額が「年収の30%以内」に抑えられることが重要で、この割合を超える形でローンを組んでしまうと収支への影響が大きく、破綻する可能性があると金融機関は判断しています。

ほかの借入れがすべて返済負担率に影響を及ぼす

 hensaihutangaku_02.jpg ここで注意したいのは、申し込む住宅ローンの返済だけでなく、従来から返済している(借りている)ほかのカーローンや銀行カードローン、消費者金融・クレジット会社からのキャッシングなども含めての「返済負担」だという点です。すでにローンを組んでいる場合は、審査においてかなり不利となることは予め覚悟しておかなければなりません。

住宅ローンの審査に通りやすくするためには、申込前にほかのローンを返済しておくこと、そして、できれば貯蓄から頭金を金融機関に支払って、返済負担額を減らすことが大切です。

また、返済終了時の年齢も審査の重要なファクターとされています。仮に、返済終了時が定年退職後で年金生活を送っているような場合は、返済期間を短縮する分、月々(年間)の返済負担を重くする必要が生じるかもしれません。返済期間を短縮した反動として、返済負担率が基準をオーバーしてしまえば、審査に通らない可能性も出てきます。

年収と返済負担率が住宅ローンの可否を決める

1年間におけるローンの返済額が「年収の30%以内」というのは金融機関の審査基準であって、住宅ローンを利用する人にとっては、あくまでも目安にすぎません。「返済負担率が何%あるから問題ない」というのは、住宅ローンを利用する人の安心できる数値ということではないのです。

ちなみに、過去のクレジットヒストリーによほどの問題が見られない限り、金融機関は上限ギリギリまで貸してくれることが多く見られます。しかし、金融機関の審査基準では、「子供を私立に進学させるために塾や予備校に通わせる(教育費の負担リスク)」「将来の病気や治療の経済負担リスク」「老後の生活負担、バリアフリーのリフォーム負担」などの、個別事情までは検討されません。

そこで、ローンで借りることが許される上限まで借りようとするのでなく、「毎月の返済額が本当に問題ない」という、地に足の着いた検討が必要になります。無理を重ねて住宅ローンの審査が通ったとしても、実際の返済負担に持ちこたえられないようでは破綻してしまうからです。

このとき、さまざまな税負担を見落とさないようにしなければなりません。年収を額面で計算すると現実を見誤ってしまいますので、あくまで「手取りを前提」に検討しなければならないのです。

不動産投資家が住宅ローンを申請した場合

では、不動産投資をされている方が、新たに住宅ローンの借入れを行う場合どうなるのか、実際にあった例を参考にご紹介します。

投資家のTさんは、普段は企業に勤務しながら不動産投資を行っています。会社員としての年収は600万円で、不動産投資のための借入れは約3,800万円、年間の返済額は230万円となっています。
今回の投資にあたり、住宅ローンの借入金額は4,000万円、年間返済額は150万円を想定していました。仮にこの住宅ローンが成立した場合、年間返済額は230万円+150万円=380万円となります。この380万円をTさんの年収600万円で割ると…

380万円÷600万円×100=63%(四捨五入)

という返済負担率が算出されます。

住宅ローンは「年収に対して年間の返済額」が決まっており、年収が400万円未満の場合の返済負担率は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下です(住宅金融支援機構等による「フラット35」など)から、Tさんの年収では借入希望額である4,000万円の住宅ローンを組もうとすると、基準を完全に超えてしまいます。つまり、今回のケースでは「住宅ローンの審査に落ちる」という結果が見えてくるわけです。この金融機関の判定は、Tさんが投資している物件が満室運営で着実に利益を上げていたとしても変わりません。あくまでも年収と返済負担率だけで判断されてしまうのです。

なお、不動産投資ローンの負担は、住宅ローンの審査において返済負担率に計上しない金融機関もあるようですので、事前に金融機関に確認をしておくことも大切です。Tさんのように不動産投資の借入れがある方が新たに住宅ローンを組むときは、信頼と実績のある専門家に相談するのが望ましいでしょう。

投資物件と返済負担率のバランスとは

不動産投資を行うときは、 キャッシュフロー の目標をしっかり達成することが何よりも大切です。アパートを一棟購入したケースの場合、満室収入に対する返済比率を見ることにより、投資の可否を判断することができます。

返済負担率 投資判断
40%以下 安全
50%以下 比較的安全
51~55% 要注意
55%以上 危険水域


上記はあくまでも目安に過ぎませんが、「ローンの返済」「修繕費」「管理費」「 固定資産税や都市計画税」といった支出の合計は、家賃収入の20%程度といわれています。もちろん、物件が常に満室ということは考えにくいので、「空室による機会損失」を少なくとも10%は見込まなければいけません。仮に、返済比率が前掲のTさんのように63%だった場合、[63+20+10=93%]ということになり、危険を通り越した投資となってしまいます。もし、返済負担率が40%であれば、[40+20+10=70%]ですから、空室率が多少上がっても十分なキャッシュフローを得ることが可能です。

ちなみに、金融機関が融資の年数を決める際に重要視するのは、物件の残り「 耐用年数」です。鉄筋コンクリート造は耐用年数が元々長いこともあり、多少築年数が進んでいても大丈夫ですが、木造の築古物件の場合は融資期間が短くなる傾向があります。融資期間の長短は返済負担率にも多大な影響を及ぼしますので、 収益物件を探すときは耐用年数をひとつの指標にすると良いでしょう。

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