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GLOSSARY
不動産用語集
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不動産投資法人

pixta_6763857_M 「不動産投資法人」とは、投資家から集めた資金を元に不動産を購入・所有し、資産運用することを目的として設立された法人のことです。この投資法人のことを「会社型投資信託」と呼ぶ場合もあります。

不動産投資法人は投資証券を発行し、不動産投資信託として証券取引所に上場することで、市場から資金を調達。不動産を賃貸物件として運用することで、収益を生みます。不動産投資信託は、その収益の一部を出資した投資家に配当する金融商品となっています。

ただし、実質的な不動産運用業務を不動産投資法人が直接行うことは法律で禁じられており、資産運用は投資信託会社に、不動産資産の保管は資産保管会社(信託銀行など)に外部委託することが義務付けられています。

不動産投資法人の歴史

不動産投資信託は1960年代にアメリカで導入されたしくみで、REIT(リート)と呼ばれることもあります。このREITとは、Real Estate Investment Trustの頭文字を取った略語です。ちなみに、この場合のTrust(信託)とは、アメリカでは従来広い意味で使われており、corporationやassociation(法人)も含む意味で普及しています。


日本でも投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)が1951年に制定されました。この法律は、不動産などの実体のある資産、あるいは株式などの有価証券への投資を促進するため、多くの投資者の資金を一括して集合的に運用する制度を確立するものです。このような集合運用のための器を「ビークル(vehicle)」といいます。


日本で投信法が制定された当時、ビークルの前提としていたのは、有価証券の投資信託のみでした。その後、アメリカで不動産投資信託、あるいは不動産投資法人が普及していき、日本でも導入の気運が徐々に高まっていました。


導入の決定打となったのは、いわゆる「日本版ビッグバン」の一環として、証券取引審議会が1997年6月にまとめた報告書にあります。「証券市場の総合的改革―豊かで多様な21世紀の実現のために」と題された報告書の中で、投資法人の導入について検討を行うべきだと触れられたのです。


1998年の投信法改正で、正式に投資法人が認められるようになりましたが、当時はまだ「証券投資法人」のみ、すなわち投資対象を有価証券に限定したものでした。

しかし、それでは投資信託の利便性を向上させる上で不十分ということになり、2000年11月の法改正により、投資信託の組み入れ資産として不動産が認められたことから、アメリカのREITを手本に日本版REIT(J-REIT)が誕生しました。

不動産投資法人の社会的役割

バブル崩壊後の1990年代、日本社会にデフレスパイラル(負の連鎖)が巻き起こりました。不動産価格が暴落し、それによって担保価値 も下がって回収不能な不良債権が増大。金融機関の経営体力が奪われ、それによって、さらに不動産価格の下落を招来するという悪循環です。


不動産投資法人制度は、そのデフレスパイラルを断ち切るために導入されたものです。導入された結果、不動産投資信託が不動産の新たな買い手として存在感を増していき、投資用不動産 の流動性が高まって不動産価格も回復していきました。


不動産投資信託は個人(機関)投資家から集めた資金をもとに大規模な不動産投資を行い、さらに複数の投資を同時進行することでリスク分散ポートフォリオを形成しています。その結果、(投資した)個人の資産形成を実現しています。また、投資のプレイヤーが増え、投下される資金も増加したことにより、不動産の流動性も高まっています。


もっとも、2008年のリーマンショックをきっかけにした経済危機により、日本の不動産投資法人も打撃を受けました。それでも、J-REITの不動産価格を下支えする潜在能力には確かなものがあります。

日本にある不動産投資法人の現状

日本で不動産投資信託を行っているおもなプレイヤーとしては、不動産の種類を限定せず分散投資する総合型REITの「オリックス不動産投資法人」(日本初の総合型REIT)や「森トラスト総合リート投資法人」、複合型REIT(オフィス+商業施設)の「東急リアル・エステート投資法人」、オフィスビル特化型REITの「日本ビルファンド投資法人」や「ジャパンリアルエステイト投資法人」などが挙げられます。また、このほかに商業施設、物流施設、住居などに特化した投資法人が数多く見られます。


なお、不動産投資信託は以下の2種類に大別されます。

・契約型投資信託:一般の投資信託と同じ方式のREIT。証券取引所で取引きされていないもの。
・会社型投資信託:不動産投資法人を使ったREIT。日本の証券取引所に上場されているのはすべてこのタイプ。

金融商品としての不動産投資信託は、すべて投資信託法人となっています。


不動産投資信託は一般的な意味での不動産投資とは違い、あくまでも「不動産を対象とした金融商品」です。一般的な不動産投資と比較すると、以下の点が異なることを理解しておきましょう。

  • ・比較的少額から投資できる
  • ・上場により日々価格が形成されるため、売買が容易である
  • ・複数の不動産への投資によりリスクヘッジができる
  • ・不動産投資のような物件管理の手間がかからない
  • ・元本が保証されておらず、市場で価格が変動する

これらの魅力とリスクを把握し、それぞれの不動産投資法人の運用方針や実績を吟味した上で、投資判断を下すようにしてください。

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