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銀のマイナス金利政策は不動産市場にどう影響する

顕著に反応した住宅ローン金利

日本銀行が2016年1月29日に発表したマイナス金利政策導入の影響は、住宅ローン金利の引き下げとなって顕著に現れました。
例えば『The Goal』の「住宅ローン金利動向」によると、

●じぶん銀行が2月から2年物の固定金利を0.50%、変動金利を0.568%まで引き下げ

●三井住友銀行が10年固定型の最優遇金利を2月16日から1.05%から0.90%へ引き下げ、みずほ銀行も同金利を2月22日から0.9%に引き下げ

●三菱東京UFJ銀行が3月1日から10年固定型の最優遇金利を1.05%からメガバンク3行で最低の0.8%に引き下げ

●ソニー銀行が3月から適用する変動金利を0.539%から同銀行史上最低の0.519%に引き下げ。10年固定型金利も1.015%から0.915%に引き下げ

●静岡銀行が2月18日から10年固定型の金利を1.1%から0.85%に引き下げ。武蔵野銀行も2月22日から同金利を1.0%から0.9%に引き下げ

●住宅金融支援機構のフラット35(長期固定型住宅ローン)の適用金利が3月から返済期間35年以下(融資率9割以下)は1.25%になり、過去最低金利を更新

――など、住宅ローンは「金利引き下げラッシュ」の様相を見せました。

  マイナス金利政策実施により、住宅ローンの固定金利の指標となる10年物の国債利回りも一時、国債発行史上初のマイナス0.01%まで低下しました。
固定金利は長期金利の影響を受けるので、日本銀行が今後、マイナス金利政策を長期化した場合は、現行固定金利がさらに引き下げられる可能性があります。

  不動産投資市場でも顕著な影響が現れました。
マイナス金利政策発表の翌営業日となった2月1日の東証REIT指数(J-REITの代表的投資損益指数)は、1月29日終値に比べ一時5.8%高の1885.80まで上昇しました。
年初からの同指数の上昇率は約3%。同期間の日経平均株価が約15%下落したのとは対照的でした。 東証REIT指数の上昇は「地方経済の低迷で融資先が細り、資金運用に苦戦している地銀などが今後、J-REITへの融資を活発化させる」(株式市場関係者)との期待が背景にあるようです。

  J-REITは個人投資家から集めた資金でオフィスビル、商業施設などの大型不動産を購入し、賃貸収入や売却益を投資家に分配する不動産投資ファンド。J-REITは株式、FXなどの投資商品に比べて透明性が高く、少額でも間接的な不動産投資ができるのが特長といえます。
REIT価格(投資口価格)が上昇した現在でも平均3%の利回りがあり、マイナス金利政策下では数少ない高利回り商品の1つになっています。
またJ-REITにとってマイナス金利政策は利払い金負担の軽減につながり、業績拡大のチャンスとなります。このため、投資家に対してはポートフォリオに組み入れた介護施設の入居一時金を割り引くなど、株主優待的なサービスを開始するファンドも現れるなど、投資家獲得競争も激化しているようです。

活発化する東京都の再開発事業、投資家は高額優良物件取得のチャンスも


2014年の人口動態調査を見ると、東京都の人口増加率は47都道府県中トップです。この人口増を背景に、JR東日本は山手線の田町―品川駅間で東京オリンピック開催の2020年に合わせた新駅の開業を目指しています。
新駅予定の駅周辺ではそれを当て込んだ都市再開発が計画されており、オフィスビル、商業施設、タワーマンションなどの建設が予定されています。

  さらに東京都では都市整備計画に基づく再開発事業も活発です。
人口増加に対応するため、不足している道路・公園等の公共施設整備、快適な住環境を備えた都市型住宅の供給、老朽化した業務施設を先進的施設へ建て替え、都市の防災機能強化など総合的な街づくりを目指した「市街地再開発事業」を2015年7月末現在、都内219地区で進行中または計画中です。
例えば池袋だけでも現在9件の市街地再開発事業が計画されており、東京都の市街地再開発事業は東京オリンピック閉会後も続きます。
マイナス金利政策で行き場を失った市中銀行の貸出資金が、こうした再開発事業に向かうのは必至と見られています。

  個人投資家の不動産投資への影響については、「マイナス金利政策を背景に銀行の貸出攻勢強化が予想される。その結果、個人投資家は以前より有利な条件で銀行借入ができる可能性が高まる。ひいては高額なために手が出なかった資産価値の高い優良物件を取得するチャンスが出てくる」(不動産投資関係者)との見方もあります。
マイナス金利政策は、少なくとも不動産市場では追い風になりそうです。

 
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