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015年現在の首都圏の中古マンション市場の状況概観

成約件数は足踏み、しかし平米単価はなおも上昇傾向

東日本レインズ(東日本不動産流通機構)が10月13日に発表した「Market Watch サマリーレポート2015年9月度」によると、首都圏の9月の中古マンション成約件数は2772件、成約平米単価は46.3万円、成約平均価格は2958万円などとなりました。


この結果、成約件数は前年同月比5.7%減で6か月ぶりに減少しました。逆に成約平米単価は同9%増、成約平均価格も同7.6%増で、共に2013年1月から33か月連続の増加となりました。


成約平米単価を地域別に見ると、東京区部は36か月連続、横浜市・川崎市が同27か月連続の増加となり、埼玉県と千葉県も今年8月度の前年同月比マイナスからプラスに好転しました。


このレポートからは、全体的には首都圏の中古マンション市場は成約件数こそ足踏み状態にあるものの、平米単価(=平均価格)はなお上昇傾向にあることが読み取れます。


首都圏の中古マンション市場が今年も底堅く推移している要因について、例えばソニー不動産売却コンサルティング事業部は、現場の実態から次のような見解を示しています。


●2013年の東京五輪開催決定を機に景気浮揚への期待感が高まり、その影響からまず東京都の中古マンション市場が活性化し、その余波が神奈川県、埼玉県、千葉県へと首都圏全域に波及。現在もその勢いが続いている。

●人件費や建築資材の高騰などによる新築マンション供給戸数の減少も中古マンション市場の活性化を促進している。


一方、不動産経済研究所の「全国マンション市場動向2014年」によると、2005年に8万4000戸台だった首都圏の新築マンション発売戸数が2014年は4万4000戸台となり、供給戸数がおよそ半分に減少と報じています。新築マンション供給不足は消費者を中古マンション購入に向かわせているとみられています。さらに子育て中のファミリー世帯の間では、専有面積にゆとりがあり価格面でも購入しやすい中古マンションを購入する傾向が強まっているといいます。


購入層の変化と「中間エリア」の浮上がトレンド

では、昨年はどうだったのでしょうか。


これについて、例えば野村不動産アーバンネットの不動産情報サイト「ノムコム」は2014年12月25日に「ここに注目! 2015年の中古マンション市場」と題する興味深い記事を発表しています。この記事は昨年、中古マンション市場で次の2つのトレンドが生まれていたことを報じています。


1点目は「購入者層の変化」です。記事は以下のように述べています。


「都心部の中古マンションの購入者は外国人投資家と富裕層が主流になってきた。外国人投資家が増加したのは、本国の不動産価格高騰でリターンが著しく低下したのが背景。その結果、国際的には相対的に価格が安い都心部の中古マンション投資を後押ししている。国内の富裕層は、2015年1月から実施される相続税増税に対処するため、相続税評価額の減額幅が大きい都心のタワーマンションなどに投資している。また、一部上場企業の部長・役員クラスが8000万円程度までの中古マンションを、通勤に便利な都心エリアに買い求める動きも強まっている。この1~2年の歴史的超低金利が高額中古物件購入の追い風になっている。」

2点目は「中間エリア」の浮上です。


同記事では、「従来は『都心と郊外』の二極化が目立っていたが、新しく『中間地帯』が生まれてきた」と指摘し、概略を以下のように述べています。


「不動産の資産価値として将来性の高い地域は都心部といわざるを得ない。2020年の東京五輪開催に向け都心部から湾岸エリアにかけて、都市再開発やインフラ整備が急ピッチで行われているのが現実だ。タワーマンション開発計画も目白押しだ。そんな中で中間地帯が浮かび上がってきた。中間地帯とは環状7号線と環状8号線に挟まれた大田区、世田谷区、杉並区などの城南・城西地区のこと。これら中間地帯は最寄り駅に近くても比較的築年数が浅い中古マンションが多い。ほとんどが都心まで1時間前後の通勤圏にあり、しかも物件価格が3000~5000万円の範囲に収まっている。このため、都心部のような過熱感はなく、コンスタントに取引がある。」

この記事で特に興味深いのが中間エリアの浮上です。


中間エリアは城南・城西地区の他に田園調布、武蔵小杉、菊名、二子玉川、溝の口、たまプラーザなどの東急沿線でも浮上しているといわれています。


これらエリアの中古マンションの買い手は、マンション本来の中核需要層である「一次取得者層」とみて間違いないでしょう。つまり、資産価値や投資リターンに着目した需要より、「住むための中古マンションの価値」に着目した需要が中間エリアで強まっていると考えられます。


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