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GLOSSARY
不動産用語集
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エクイティ

 equity_01.jpg 「エクイティ(Equity)」とは、返済期限の定めのない資金のことです。新株や優先出資証券などの発行、または組合出資などから得た「資本」にあたる部分で、自己資本とも訳されます。

これに対して、返済期限のある資金をデットといいます。社債発行や銀行借入などによって得た「負債」にあたる部分で、いわゆる他人資本に該当します。

不動産投資においては、おもに不動産証券化商品に投資する「間接投資」の分野で使われている言葉です。間接投資は、投資の対象とする資本によって「エクイティ型投資」と「デット型投資」に大別することができます。

エクイティ型投資の特徴

REITや投資ファンドを対象にした投資のことを「エクイティ型投資」といいます。

REITとは、一般投資家から集めた小口資金を不動産投資のプロである不動産投資法人が不動産に投資し、その収益を投資家に分配するしくみのことです。企業の信用力を前提とする企業金融(コーポレートファイナンス)ではなく、不動産が生み出すキャッシュフローを前提とした資産金融(プロジェクトファイナンス)に着目した資金調達手段であり、賃貸マンション、オフィスビル、商業施設、ホテルなど、キャッシュフローを生み出す不動産すべてが投資対象になります。

スキームはREIT(不動産投資信託)会社みずからが投資を行う米国方式と、投資家と資産運用者(投資信託委託会社)が分かれている豪州方式があり、我が国の「J-REIT」は豪州方式を採用しています。

<REITにおける投資家のメリット>
・実物不動産に投資する場合に比べて小口(1株50万円程度)で投資できるので不動産投資がしやすい
・市場売買により不動産の流動性・換金性が高まる
・情報開示により不動産投資の透明性が確保される

<REITにおける投資信託設立者のメリット>
・投資収益の大半(J-REITの場合は90%以上)を配当することで二重課税を回避(通常の不動産株式は約40%の法人税控除後の額を配当)できる
・不動産資産をオフバランス(簿外取引化)でき、有利子負債の削減やROA(総資産利益率)の改善を図れる

エクイティ型投資による資金は「返済期限がない資本」です。そのため、収益配分や清算手続きの際には、債権を持つデット投資家に対して優先的に支払われます。ただし、その代わりにエクイティ投資家は元本償還後の利益をすべて得られるという権利を有しています。

資金回収は遅れてしまうリスクがあるものの、想定された売上以上の利益があった場合はリターンが大きいことから「ハイリスク・ハイリターン型金融商品」といえるでしょう。

デット投資の特徴

不動産担保融資の裏付けとして発行されたモーゲージ証券(Mortgage Backed Security)に投資することを「デット投資」といいます。

モーゲージ証券とは、民間金融機関などが貸し出した住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取って証券化したもので、元利金支払などの保証がされた上で投資家に販売されます。

デット型投資による資金は「返済期限のある負債」です。そのため、収益配分や清算手続きの際には、エクイティ投資家よりも優先的に支払いを受けることができます。確実に投資金を回収したい場合に向いている投資方法といえるでしょう。

ただし、業績が悪いときでも回収可能性が高いというメリットがある一方、利益は固定されているため、予想以上の売上があったとしても大きなリターンは得られません。「ローリスク・ローリターン型金融商品」といえるでしょう。

直接投資におけるエクイティ(ホームエクイティローン)

 equity_02.jpg これまで間接投資におけるエクイティについて解説してきましたが、近年は現物不動産に投資する「直接投資」の分野においても、この単語が使われることが増えてきました。

現在、不動産を運営しているオーナーのあいだで注目されているのが「ホームエクイティローン」です。自宅の評価額から借入残高を差し引いた「正味価値」の部分(エクイティ)を融資限度額とするローンのことで、カードローンなどの無担保融資と同様に、借りたお金の使い途は自由で、審査が通っても融資を受けずに融資枠だけを設定しておき、いざという場面に備えることもできます。しかも、カードローンと比べて低金利で利用できるのが特徴となっています。

その代わり、ある程度の年数にわたって返済が進み、残債も減っている物件でなければ、ホームエクイティローンを設定することは困難でしょう。
自宅を担保に融資を受けるしくみとして、似たものに「リバースモーゲージ」があります。これは、金融機関からは老後の生活資金を定期的に融資してもらい、死後に金融機関が自宅を売却して融資金を回収するという方法です。

ホームエクイティローンは、死後に自宅を売却することは前提としておらず、あくまで毎月の返済を続けて、完済を目指すものです。おもな融資対象としているのは、住宅ローンを10年以上返済しており、まとまった進学費用や医療・介護費用などが必要となった40代から50代の夫婦とされています。

ホームエクイティローンの強みは、用途が限定されていないところです。新しい不動産を購入するときの頭金にあてるのはもちろん、リフォーム用の資金にしたり、住人を募集するための広告費として利用したり、さまざまな目的で使うことができます。

2000年代のアメリカでは、住宅の取得者に対して、エクイティローンで住宅にかかる 固定資産税などの不動産関連租税の支払い分を融資するなど、自己資産の乏しい人でもできるだけ住宅ローンを組めるようにしています。ここから発展して、低所得者向けの高金利のサブプライムローンが過熱していき、2008年に発生したリーマンショックの引き金になったといわれています。

ホームエクイティローンで金融機関が握っているのは、ローン返済途中の住宅であり、純粋なエクイティとは評価しがたく、担保価値の基盤は脆弱です。仮に返済が滞り、破綻状態に陥った場合、ローンが残った住宅を競売することになるので、金融機関が残債を満足に回収できるかどうかは未知数といえます。返済能力を慎重に見極め、住宅ローンを抱えた所有者が「ローンでローンを返す」という悪循環を起こさないようにしなければなりません。

また、諸外国に比べて 耐用年数が短く、メンテナンスやリフォームよりも建て替えようとする傾向が強かった日本の住宅では、ホームエクイティローンがどれほど成立するのか懸念する指摘もあります。返済期間中の経年劣化が進みやすく、ローン残債を上回る正味の資産的価値がどれほど残っているのか疑問だというのです。

大量生産・大量消費の価値観がいまだに残っている日本の住宅業界で、旧弊を改め、エクイティローンが成り立つほど資産価値が摩耗しづらく、品質と持続可能性の高い住宅を普及させる必要があるでしょう。

このように、懸念材料もあるホームエクイティローンですが、今までのローンは使い道が限定されていることが多く、使い道が自由に選べるものは金利が高めに設定されているなど、いずれも一長一短なところがありました。しかし、両者のいいとこ取りをしたホームエクイティローンの登場によって、低リスク且つ容易に融資を受けられるようになったのです。アメリカでもさまざまな問題は散見されましたが、ホームエクイティローンのおかげで、人々の消費増に貢献し、景気が下支えされたという側面もあります。今後、資金調達をするときのために、このような制度があるということを頭の片隅にとどめておいてください。

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